2025.07.14
学習生産性を革新するAIテクノロジー活用

でも気づけば、日々の対応に追われてしまう——。
そんな人材開発の現場に、生成AIという新しい選択肢が登場しています。
本当は、もっと“価値ある仕事”に時間を使いたい
日々の忙しさに追われる中、「もっと付加価値の高い仕事に集中したいのに…」と感じたことはありませんか?
私たち人材開発の仕事は、受講者対応や資料作成、評価レポートの作成など、目の前のオペレーションにどうしても多くの時間を取られてしまいます。
でも、本来の私たちの仕事はそこではないはずです。
私たちが果たすべき使命は、「人と組織の行動変容を促し、業績向上につなげる」という価値の高い取り組みです。
「もっと本質に集中できる働き方がしたい」
そんな思いに火をつけてくれるのが、AIという新たなテクノロジーです。
学習生産性を高める、という視点
これからの人材開発において欠かせないキーワードが「学習生産性」です。
これは、限られた時間・コスト・人員(=分母)で、行動変容や業績向上(=分子)をより速く、より確実に実現するという考え方。
人材開発では、成果を出そうとすると往々にして「時間やコストがかかる」。
これまでそう思われてきた両者は、ある種のトレードオフ関係にありました。
しかし、今は違います。
生成AIなどのテクノロジーの登場により、「成果を高めながら、コストもスピードも両立する」という、かつてない時代が訪れています。
フレームワークとテクノロジーの掛け算が鍵
とはいえ、「AIを使えばすべて解決する」というわけではありません。
重要なのは、どの仕事に、どのようにAIを組み込むかを明確にすることです。
そこで指針となるのが、人材開発業務の設計フレームワークとして広く知られる「ADDIEモデル」です。
ADDIEとは、Analyze(分析)→ Design(設計)→ Develop(開発)→ Implement(実施)→ Evaluate(評価)という流れで構成され、学習設計の全体像を網羅する考え方です。

Analyze|分析:課題と学習の焦点をクリアにする
- 現場ヒアリングやアンケートのテキストから、AIが論点を抽出し、課題仮説を立てる
- 業績データやスキルデータの分析を通じて、学習ニーズを明文化
- 明確化された課題に基づき、学習目標や効果測定案を生成
使用ツール:ChatGPT、Gemini、Claude、Miro Assistなど
Design|設計:成果から逆算した学習のデザイン
- 「対面研修」「オンライン研修」「e-learning」「職場学習」を組み合わせたラーニングジャーニーの提案
- 講義・演習・評価をどうモジュールとして組み合わせるかのコースデザイン支援
- 学習目標に基づき、適切な評価方法(タイミング・手法)を設計
使用ツール:ChatGPT、Gemini、Claude
Develop|開発:質を保ちつつ、スピードと量を実現
- 研修スライドや講義台本、練習問題、テストなどの素材をAIが自動生成
- 動画教材やナレーション入りコンテンツも数クリックで制作
- 案内メール、受講マニュアルなどの周辺業務もAIで下書きを作成可能
使用ツール:Beautiful AI、Gamma、Heygen、Quizekko、ChatGPTなど
Implement|実施:学習者ごとの体験を柔軟に最適化
- ロールプレイやプレゼン演習に対し、AIが即時フィードバックを提供
- シミュレーションやVR/ARなどで実践環境を再現
- 学習者の評価結果に応じて、必要な次の学習コンテンツを自動提案・配信
使用ツール:UMU、AIチャットボット、各種LMS連携
Evaluate|評価:成果を見える化し、次の改善へつなぐ
- テスト結果や実践記録をAIが分析し、習得状況を可視化
- 強化が必要なスキル領域や個別の傾向を自動で抽出
- 上司・経営層向けに自動でレポートを生成し、報告業務を効率化
使用ツール:AI分析ツール、ChatGPTなど
人材開発の仕事そのものを再設計する視点を
生成AIを活用することで、私たちの業務は「一部の効率化」ではなく、「仕事そのものの再設計」が可能になります。
今まで手をかけないと成果が出なかった領域が、自動化され、スピードアップし、しかも精度が高まる。
それによって、本当に時間を使いたかった付加価値の高い仕事に集中することができるようになるのです。
重要なのは、「何をAIに任せられるか」だけでなく、「AIと組むことで、人材開発の仕事をどう再構築できるか」という視点を持つことが大切です。
一つひとつの業務を見直していくことで、仕事の本質が浮かび上がってくるかもしれません。
まずは、日々の業務のどこか一つにAIを試してみることから始めてみませんか?
「本当にやりたかった仕事」に、少しずつ時間を取り戻していきましょう。